令和7年度の始まりに(ご挨拶)                 校 長  大江 健規

 

  見事に色づいた桜の木に迎えられて、真新しい制服に身を包んだ新入生が、本校の新しい主人公として初登校、そして、第43回入学式を挙行いたしました。その後、新入生169名に2・3年生が加わり始業式を行い、全校生徒524名で、令和7年度が始まりました。
 私ごとではありますが、今年50歳となり、半世紀を生きてきたことになります。本校勤務も2年目となりますが、あらためて、これまで培ってきたすべて活かし、佐井寺中生と佐井寺中で働く先生方のために全力を尽くす決意を固めております。
 文部科学省が令和5年6月に策定した第4期教育振興基本計画では、「持続可能な社会の創り手の育成」、「ウェルビーイングの向上」というコンセプトを基本とし、自己肯定感や社会貢献意識などを調和的・一体的に育み、日本社会に根差した「調和と協調」に基づくウェルビーイングを、教育を通じて向上させていくことの重要性が示されたとともに、教師をはじめとする学校全体のウェルビーイングの向上が重要であると言及されています。
 また、令和4年度には、不登校児童・生徒数が約30万人となり、過去最多となりました。文部科学省が令和5年3月に策定した
「COCOLOプラン」においては、不登校児童・生徒の学びの場の確保、学校を「みんなが安心して学べる場所」にすることの必要性が示されました。
 さらに、特別支援教育の推進にあたっては、一人ひとりの教育的ニーズに応じた学びの場の整備を軸としたインクルーシブ教育システムの実現に向けた取組の一層の推進が求められています。

 一方、学校における働き方改革については、さまざまな取組が進められてきており、成果は着実に出てきているものの、依然として長時間勤務の教職員も多い現状があり、「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策として
「学校・教師が担う業務の適正化の一層の推進」「学校における働き方改革の実効性の向上等」「教師の健康及び福祉の確保に向けた取組の充実」などが示されました。
 本市においては、令和7年4月に「生命かがやき ともにつながり 未来を拓く吹田の教育」を教育理念として第3期吹田市教育振興基本計画
「吹田市教育ビジョン」が策定され、重点課題には「誰一人取り残されない学びの保障の推進」「教員の働き方改革の推進」が設定されています。
 本校においても、子どもたちの「学び向かう力、人間性」「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力」等の資質・能力を育成し、子どもたちが生涯を通じて主体的に学び続ける力や心身の健康、規範や社会貢献の意識向上を目指し、学校教育目標を掲げ、教育活動に取り組んでまいりました。今年度は、国・市の基本計画の改正を踏まえ、本校の教育活動についてもふりかえりと検証を行ったうえで、子どもたちや地域の特性、教職員の働き方改革も含め分析をし、見直し・統合等を行い、総合的に整理したうえで、学校教育目標の見直し、さらには教育活動全体を視野に入れた「佐井寺中学校グランドデザイン」の策定を検討しております。

 結びに、学校教育を取り巻く環境は、急速に変化する社会状況やテクノロジーの発展に伴い、ますます複雑化していくと予想されます。しかしながら、公立学校である本校の使命と責任は、「一人残らず子どもの学ぶ権利を保障し、その学びを高めること」そして
「他者と共に生きる準備をする場」であると自覚し、佐井寺中学校に登校してくるすべての子どもたちを、ご家庭から「お預かりする」だけでなく「お引き受けする」ことから始まるという信念が揺らぐことはありません。
 「引き受ける」とは、我々教職員の知識・技能や専門性をもって、子どもたちの成長に、積極的に関わっていくという決意です。今年度も、本校教職員一同、本校の教育課程をもって、佐井寺中学校の子どもたちの「学び」と「育ち」をお引き受けいたします。
とはいえ、教育は学校だけでできることではありません。学校の視点、家族の視点、地域の見守りがあって、子どもたちの成長を総合的に支えていくことが可能になります。それぞれの視点で確かめ合い、話し合いながら進んで参りたいと思っておりますので、引き続き、本校の教育活動にご理解とご協力をお願いいたします。