食育研究グループ
“一食作れる吹田っ子”をめざして
−家庭科での実践−
食育研究グループ
<研究員>
豊津第二小学校 |
栄養教諭 | 板東 友希子 | ||
北山田小学校 | 栄養教諭 |
池田 裕美 |
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江坂大池小学校 | 栄養教諭 |
福井 智子 |
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山田第二小学校 | 栄養教諭 |
小沢 清美 |
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山田第五小学校 | 教 諭 |
友田 早紀 |
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桃山台小学校 |
教 諭 |
岩田 俊彦 |
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南千里中学校 | 教 諭 |
村田 晋太朗 | ||
豊津中学校 |
栄養教諭 |
林 美恵 |
「一食作れる吹田っ子」をめざして
食育研究グループ
本研究グループでは、家庭科の授業における食育に焦点を当て、昨年度から「一食作れる吹田っ子」をテーマに研究を進めてきました。
昨年度は、本市立小学校35校、中学校18校で、「食育充実のためのアンケート調査」を行いました。その結果、「家庭科調理実習はほぼ担任が行っていること」、また「教師の調理経験が少ないので不安に感じていること」等がわかりました。さらに、「子ども自身の生活体験が乏しいこと」が指導をより困難にしている実態がつかめました。
小学校5年生から調理実習の内容を深めるためには、小学校1年生からの積み重ねが重要です。中学校家庭科での調理実習を充実させるためには、小学校5・6年生での系統立てた指導が必要です。
2.家庭科における食生活学習の指導モデル
小学校5年生から中学校3年生までの5年間の指導内容を、家庭科の教科書に沿って整理しました。(指導モデル参照)小学校1〜4年生の積み重ねについては、生活科や道徳、理科、社会、総合などで次のようなことを取り組むと、小学校5年生の調理実習がスムーズにすすめられます。(系統性のある調理指導参照)
3.調理実習注意事項・調理室の使い方
小学校の家庭科室は、調理実習だけではなく生活科や特別活動などで調理をすることもあるので、年度当初に家庭科室の使い方を周知し掲示しておくと、共通理解を図ることができます。
※調理実習時の家庭科室使用にあたっての確認事項(Word形式)
4.調理実習児童用チェックリスト
調理実習前後に各班でチェックします。
5.調理実習指導研修の内容と感想
平成25(2013)年8月1日に、「フードパートナーシップ〜明日から役立つ調理実習の基礎・基本について学ぶこと」を目的に研修会を行いました。家庭科専科担当教員や栄養教諭が指導者となり、小学校・中学校という校種を超えた交流を図ることができました。研修の主なねらいは次の2点です。
・調理実習における、基礎的・基本的な内容の指導力の向上を図る。
・小中の指導内容を知り、系統性のある調理指導を実践できるようになる。
この研修では、小学校・中学校での系統的な指導について講義を行い、調理実習を行う上で児童・生徒が自ら確認できるチェックシートや、指導のポイント・工夫について紹介しました。その後、実際の授業で生かしていけるよう、小学校家庭科で行っている献立内容で調理実習を行いました。
@
耐熱ガラスでごはんを炊く
A
煮干しだしのみそ汁を作る
B
みそ汁の塩分を塩分濃度計で計る
C
いろいろなだしの味を味わう
D
包丁で皮むきしたじゃがいもで、ジャーマンポテトを作る
実習の前に模範を見せることで、言葉やイラストの説明よりイメージがしやすくなります。実際にどのように包丁を動かしたらその切り方になるか、説明しながら手本を見せることで安全に正しく作業を進めることができます。
アンケートより
・理論編と実習編に分けての内容だったので、とてもわかりやすかったです。実習ではいろいろなコツがよく分かりました。デジタル教科書も使用してみたいです。ありがとうございました。コメントもありがとうございました。
・実際に子どもと作るようにていねいに教えて頂けたので、どんな声かけをしていけばいいのかイメージができました。二学期にごはんとみそ汁をするので実践できたことや経験のある方にお話が聞けてとてもよかったです。
・小、中の流れを知ることができたので、中学校を見据えての指導について考えながら指導をすすめていけそうです。実習形式も分かりやすかったです。
・まだ5,6年生を受け持ったことがなく、家庭科の指導経験もないので、前もって今回の研修を受講できて、とてもよかったです。ありがとうございました。
・小学校でどの程度の内容まで教えているかよくわからず、やっている部分が多かったので今回確認できてよかったです。中学校家庭科は1校に1人いるかいないかなので相談できる人がおらず、小学校や他の中学校、栄養教諭の先生と交流ができてよかったです。工夫などを教えていただきよかったです。
6.おわりに
食育の重要性は多方面で言われているところですが、小学校と中学校での実践交流は今までなされてきませんでした。この吹田市で学び育っていく子どもたちに、生きる力とも言える調理能力をつけさせたいと「一食作れる吹田っ子をめざそう」を目標に2年間研究を重ねてきました。小学校と中学校の研究員が集まる中で初めて聞く校種間の違いに驚き、系統立てた指導の必要性を痛感しました。
小学校低学年からお手伝いや生活科等で調理経験を積み重ね、小学校5・6年、中学校の計5年間で、計画的に系統性のある調理実習を行うことにより調理技能を習得することができます。
小学校では、「切る」「わかす」「ゆでる」「炒める」を身につけさせ、中学校へつなげることを目標に実習を進めましょう。
中学校の1時間の授業では、主食・主菜・副菜・汁物を作る時間がありません。1回の実習で「一汁一菜」を作る実習をくりかえすことで「一食作れる吹田っ子」の育成につなげたいです。
小学校と中学校の教師が同じ視点に立ち、系統立てて指導を行うことにより確かな学力がつくということは、食育に関しても同様のことがいえます。算数であれば九九を覚える時に、家で何度も練習をします。体育であれば、縄跳びを宿題で出されることもあるでしょう。ともすれば、調理実習はグループ作業で得意な子が行ってしまいがちですが、一人ひとりが調理技能を身につけることが大切です。果物の皮むきテスト前に家で練習するように課題を出したり、みそ汁の調理実習後に家で作ってみる宿題をさせることで、家庭の協力を得られるという実践もあります。調理実習で経験したことを家庭でも繰り返しやってみることで、子どもたちの調理技能が確実なものになります。
子どもたちの多くは調理実習を楽しいと感じ、心待ちにしています。この気持ちを大切にしながらも、「作って・食べて・おいしかった」で終わらせないように、指導する側が常に学習のねらいを明らかにしておく必要があります。
今年度、研究員自身が指導者となって研修会を行う中で、研究員側が学ぶことも数多くありました。小・中学校の更なる交流・研究を深め、子どもたちみんなが「一食作れる吹田っ子」に育つよう指導していきましょう。